呼吸をサポートする酸素濃縮器や酸素発生器では、何よりも安定した性能が求められます。その性能を左右する要因のひとつが、内部部品であるゼオライトの劣化です。本記事では、ゼオライトの仕組みや寿命、交換タイミング、そして酸素濃縮器の正しい管理方法について詳しく解説します。
目次
酸素濃縮器のゼオライトとは?役割と寿命の基本知識
酸素濃縮器や酸素発生装置は、呼吸器系に不安を抱える生物の命綱となる重要な機器です。その心臓部ともいえるのがゼオライトと呼ばれる物質です。ゼオライトは、空気中から酸素を取り出すうえで不可欠な物質であり、酸素の純度に大きく関わります。酸素濃縮器の仕組み
酸素濃縮器は、周囲の空気を取り込んだ後、内部のプロセスを活用して酸素と窒素を分離します。この分離工程で重要な働きをするのがゼオライトです。ゼオライトは多孔質構造の物質で、空気中の窒素を吸着し、酸素だけを通す役目を果たします。ゼオライトは「モレキュラーシーブ」と呼ばれることもあります。ゼオライトには寿命がある
ゼオライトには使用時間に応じた寿命があります。80%〜90%前後の高濃度酸素を安定して排出することを前提とする場合、寿命は数千時間程度が一般的です。
ゼオライトの寿命に関する定義や考え方は、販売店やメーカーによって異なることもあります。ご不明な点がある場合は、ご購入先の販売店にご相談いただくことをおすすめいたします。
また、使用していない場合でも、高温多湿な場所で長期間保管されると、ゼオライトが経年劣化しやすくなります。機能の低下を防ぐためにも、暗所で密閉した袋に入れて保管することをおすすめします。
酸素が薄く感じる原因はゼオライト劣化?症状とトラブルシューティング
酸素濃縮器や酸素室の酸素が薄い原因には、ゼオライトの劣化が隠れている可能性があります。しかし、それだけではありません。ここでは、酸素濃度低下の主な原因と対処法について解説します。フィルター詰まり
最初に確認したいのがフィルターです。外気を取り込む酸素濃縮器は、空気中のほこりや異物をろ過するためのフィルターを備えており、これが詰まっていると酸素の出力が落ちる可能性があります。定期的な掃除によってフィルターの目詰まりを予防し、必要に応じた対応が可能になります。また、チューブの接続部や本体との接続部分にも漏れやねじれがないかを確認してください。空気漏れがあれば酸素の供給が低下します。
異音がする
内部のコンプレッサーやその他の部品が、外側のハード部分と干渉して異音を発するケースがあります。これは、なんらかの拍子や強い衝撃により、内部の部品やコンプレッサーの位置がわずかにずれてしまった可能性が考えられます。
稼働を続けるうちに自然に解消される場合もありますが、不安を感じられる場合には、一度販売店までご相談することをおすすめします。
電源関係の不調
コードの破損やコンセントの接触不良、内部の回路基板の問題が考えられます。こうした場合は、安全性の観点からも自己判断で分解せず、資格を保有する技術者の点検を受けてください。必要に応じて、より信頼性の高い電源装置への切り替えを検討することもひとつの選択肢です。酸素濃度を調べる
酸素濃度計を使って、実際に供給されている酸素の純度を測定してみることをおすすめします。酸素の純度が下がっている場合、内部のゼオライトの劣化が原因である可能性が高いです。ゼオライトは、空気中の窒素を吸着して酸素だけを取り出す役目を担っており、この性能が落ちると排出する酸素濃度を維持できなくなります。一度劣化したゼオライトは回復しないため、交換が必要です。
ゼオライトの交換タイミングと長持ちさせるためのメンテナンス方法
ゼオライトは使用するうちに劣化が進みます。ここでは、ゼオライトの適切な交換タイミングと、長持ちさせるためのメンテナンス方法について解説します。正しい使用方法を守る
メーカーの取扱説明書や専門医の指導にしたがいましょう。直射日光や高温、火気を避け、涼しい場所に設置することが大事です。また、湿度の高い場所やホコリの多い空間ではゼオライトの性能が落ちやすくなるため、保管場所の選定が長寿命化の第一歩です。定期的な点検
フィルターやチューブといった消耗部品の状態をチェックし、必要に応じて交換することで、装置全体のパフォーマンスを維持できます。とくにゼオライトについては、酸素の純度の著しい低下や供給量の不安定さが見られる場合、性能劣化が進んでいる可能性があります。そのような兆候がある場合には、販売店に相談し、内部部品の状態を確認してもらうことが大切です。
アップグレード
定期的な点検は重要ですが、メーカーやサービス会社での修理が難しい状態であれば、無理に使用を続けず、新しい機器への移行を検討した方が安全です。ゼオライトなどの部品をアップグレードすることで、システムの効率を高め、耐用年数を延ばせる可能性があります。個人で見極めるのは難しいため、資格を保有する修理技術者に相談するとよいでしょう。




